後付けスマートロックの取り付け可否を、大きく左右する、最も重要な部品、それが、ドアの内側にある「サムターン(つまみ)」です。スマートロックの多くは、このサムターンを、モーターの力で、物理的に回転させることで、機能します。そのため、サムターンの「形状」や、その「周辺の環境」が、特殊なものであった場合、残念ながら、スマートロックを取り付けることができない、というケースが存在します。ここでは、特に注意が必要な、スマートロックが使えない、あるいは、使いにくい、サムターンの特徴について、具体的に解説します。まず、最も分かりやすいのが、「サムターンとドアノブが、一体化している」タイプです。古い住宅などで見られる「インテグラル錠」や、一部の装飾錠などが、これにあたります。サムターンが、ドアノブの中心に埋め込まれていたり、ドアノブと同じ台座の上に、近接して設置されていたりするため、スマートロック本体を、安定して固定するための、平坦なスペースを、確保することができません。次に、「サムターンの形状」そのものが、特殊な場合です。例えば、つまみが、極端に小さかったり、薄かったり、あるいは、滑りやすい、球形に近いデザインであったりすると、スマートロックのアタッチメントが、うまくサムターンを掴むことができず、空回りしてしまう可能性があります。また、防犯のために、つまみを押しながら回す、といった、特殊な操作が必要な「防犯サムターン」の一部も、スマートロックの単純な回転運動では、対応できない場合があります。さらに、意外な盲点となるのが、「サムターンの回転角度」です。一般的な錠前は、サムターンを九十度回すことで、施錠・解錠が行われます。しかし、一部の特殊な錠前では、百八十度近く回さないと、完全に施錠できないものも存在します。多くのスマートロックは、九十度の回転を前提に設計されているため、こうした特殊な錠前には、対応できません。自分の家のサムターンが、少しでも、これらの特徴に当てはまると感じたら、自己判断で購入する前に、必ず、メーカーのウェブサイトで、詳細な適合情報を確認するか、あるいは、サポートセンターに、写真を送って相談する、といった、慎重なステップを踏むことが、賢明です。
このサムターンには要注意!使えない鍵の形状