自宅の玄関の鍵が、スマートロックの取り付け条件を、全てクリアしていることを確認し、満を持して製品を購入。しかし、いざ設置してみると、なぜかうまく作動しない。あるいは、特定の状況下でだけ、反応が著しく悪くなる。そんな、予期せぬトラブルの原因は、鍵の形状や、ドアの構造といった、物理的な問題ではなく、目には見えない、意外な「盲点」に、潜んでいるのかもしれません。スマートロックが、正常に機能しない、いくつかの意外な原因について、解説します。まず、考えられるのが、「ドアの材質」による、電波の遮蔽です。スマートロックは、スマートフォンと、Bluetoothなどの、微弱な電波で通信しています。もし、あなたの家の玄関ドアが、分厚い鉄製や、ステンレス製であった場合、その金属の塊が、まるで盾のように、電波を遮ってしまい、ドアを挟んだ、屋外と屋内との間の、通信を、著しく不安定にさせてしまうことがあるのです。これにより、ハンズフリー解錠がうまく作動しなかったり、アプリの反応が、極端に遅くなったり、といった症状が現れます。次に、ドアの「建付けの悪さ」も、大きな問題となります。長年の使用で、ドアが傾いていたり、歪んでいたりすると、施錠の際に、デッドボルト(かんぬき)が、ドア枠の受け座(ストライク)に、スムーズに入らず、強い抵抗がかかることがあります。人間の手であれば、少し力を加えれば回せる程度の抵抗でも、スマートロックの、比較的小さなモーターの力では、デッドボルトを、完全に動かしきれず、施錠・解錠エラーとなってしまうのです。さらに、意外と見落としがちなのが、ドアの内側と外側で、高低差がある「親子ドア」や、ドアクローザーの力が、非常に強いドアなどです。これらも、スマートロックのセンサーが、ドアの開閉状態を、正しく認識できなかったり、モーターに、過度な負荷をかけたりする原因となります。スマートロックの導入は、単に、鍵の形を見るだけでなく、あなたの家の玄関が持つ、こうした、総合的な「環境」までを、考慮する必要があるのです。